デザイン部

SET DESIGN et cetera 「ノウハウは続くよ、どこまでも」

2020.10.05


そう、ノウハウは続くよ、どこまでも。好きならね。
元々なんで自分は絵を描いたり物を作ったりしはじめたんだっけな?
最初は親の思う情操教育の一環で、自分の意思なぞ介しない習い事が始まりだったけれど
何が功を奏すか分からないね~、見事に描く・作るがツボにハマってしまった。
(いや、生意気な書き出しですが、それを与えてくれた親や祖母に感謝はしております)

考え、描いたものが形になる。
これ以上の至福は自分には無いと思える。
小学・中学・高校と学科の勉強は大嫌いだったけれど
モノを作るのは大好きだったから、それについてまわることは
本当に寝る間も惜しんで考えたし調べた。
後で考えると、それも勉強の類だったかと思うんだけれど…(笑)。

で、デザインを仕事として始めてみると、変なイメージというか
仕事なんだから真面目にやらなきゃー、なんて意味の分からない呪縛に囚われ(笑)
急にお堅いものを描いちゃったりするんだけど
じきにハタと気付いてしまう、俺なにやってるんだろうと。
自分が楽しくないものを他人が面白がってくれる訳なかろうと。

そこからは仕事が俄然楽しくなり、嬉々として考えを巡らせ
イメージの実現化を繰り返す度にトライ&エラーの連続で、結果ノウハウが手に入る。
ノウハウは次なる思考へのショートカット。

写真も載せずに意味の分からない長文をツラツラ書くなってツッコミが入りそうだけど
ここはまだショートカットするとこじゃないのでまだ続く…
そういえば大学院の受験の時に書いた小論文の文字数稼ぎで
こんな風にふやかしてたら、面接の時に教授から
君の論文は文学的だねって遠回しな嫌味を言われた覚えがある。

ごめんなさい、超脱線。

様々なデザインを続けているとバランス感覚が手に入るから
ここまでは許容範囲、これ以上はアウトとかが見えてきて
様々な状況や顧客の要望に応えられるようになる。

>これがベテランとか言われる所以になる。
 (でも個人の持つセンスはまた別の話しなのですが。。。)

さて、いい加減本題にいこう。

いろんなノウハウを得ると、今度は仕事だけじゃなく
私生活にもそれを生かしたくなってくる。
以前このブログで自分の部屋のことを書いたけど、それが正にそれ。

映画・ドラマにバラエティにイベント、舞台など節操なく色んな案件をこなしてきたおかげで
素材の種類、見た目や強度、耐候性などはもとより、デザインとしての組み合わせの面白さや
躯体が出来上がった先の小物の飾り方や照明のあて方まで知ることができた。

置いてあるものは、自分で作り上げたバイクの残骸…正確には壊れた(壊した)パーツだとか
アメリカのシューティングレンジで撃ったショットガンの薬莢、
ブルガリアの骨董市で買ったナチスドイツのスタンプとか、おおよそハードなものばかり。

自分の部屋にグラフィックを入れたり、エイジングを入れるバカはそういないと思うけど
入れてみたらこれがまた良い雰囲気でたまらない訳ですよ。

一般的な個人部屋として考えたら暗すぎる照明ばかりだけど、日常を非日常へ変えるのに十分なアイテム。
自分が前に住んでいたマンションは一般的な蛍光灯のシーリングライトだったけれど
振り切ってみて、改めてあんなものに意味は無いと知りました。

ちなみにこの5枚の写真の中に写ってる小物や照明・素材は、なにかしら手を加えているものの
ほとんどホームセンターやIKEA、ニトリなんかで買えるものばかり。
手を加えることで全ての雰囲気を合わせ、全体感をアップする相乗効果を狙ってます。

で、この部屋はそもそもどうやって作ったのか?
なんの工夫があるのか?を逆貼りしていきます。

これは建物ができた直後で、まだ調度品が入ってない状態。
壁面は自分が夜中にコツコツと色を塗って仕上げたもの。

雨仕舞い、隙間の処理、完璧です。当たり前?

どんな入り口にするかはイラレでシュミレーション。
もっともイラレなんかで考えるから、いたずらにグラフィックが増えていってしまうという事実…。

壁面の仕上げ途中。
壁のベースは木毛セメント板という、切り干し大根のような木のチップをセメントで固めた板で
個人で扱うにゃ、そりゃもう素晴らしく重い!
倉庫なんかではよく使われる建材で特別なものではないけれど住宅にはあまり使われない。
そのまんま貼り付けておくと、元がセメントなんで部屋が粉粉になっていってしまうからで
この部屋のものは、粉を止める意味と見た目の雰囲気も更に良くしたいので
漆喰をランダムに塗り付け、エイジングでタッチ付け、ニスでトップコートしている。

部屋として成立させる為には当然断熱材も仕込んであります。当たり前?

向かって左手のチョコレートのような壁は、実は母屋の壁。
どういうことかと言うと…

こういうこと。
母屋の軒下にある部屋。
屋根は母屋の軒、壁の一面も母屋の壁面を使い、あとは断熱材の入ったパネルで埋めていった部屋。
でも、そのままでは構造体として弱いよね。

なので、そもそものベースは鉄骨。
コンクリートの土台にアンカー止めしてある。
部屋って言っても元々は大事なバイクをしまう為のガレージだったので
扉部分に組まれた鉄枠なんかは防犯の役目にもなっている。

コンクリの土台以外、母屋の壁面や天面に鉄骨が接していないのは
母屋の持つ耐震設計に影響を与えない為。
当然囲った壁は天井まできっちり埋まってないと、断熱したって壁がヒューヒュー抜けるじゃんって話しだけど
そこはバックアップ材とコーキングで埋めて、そこを薄い木材でカバーしてる。

いつも仕事を一緒にやってる仲間の工場で作ってもらった鉄骨。
まるでジャングルジムのようで、その強度は言うまでもなし。
2ブロックになっているのは、1つだとデカすぎる為に運搬が大変だし
細かすぎると組み立てるのが大変なのと、作る手間も増えるから、そのバランスをとった結果。
出来上がった状態は綺麗なグレーの塗装。
でも最終的にはエイジングがかかってサビが浮いてるような仕上げになってる(笑)。

図面だけだと躯体の説明がしにくかったので、プラ棒で作った模型を添えて発注。

普段作ってるセットのような見た目でありながら、建築物としての居住性は妥協しない。
だって大事なバイクが盗まれても濡れても嫌、部屋で描きものしてる時に暑くても寒くても嫌
乗った後のバイクをしまってガソリン臭くっても嫌
一人落ち着くスペースが欲しい、音楽を大きめな音量で聴きたい、PCが使えないと困る
ワガママかもしれないけど、普段の生活はそれで成り立ってるから、これらは引けないよね。
広さなど物理的な問題は限度があっても、ある空間を今まで培った最大のノウハウをもって作り上げる。
大変だけど、こりゃとても楽しいことだから、纏わることについて勉強もした。
だから、たった六畳もない空間に自分の何十年分のノウハウが詰まっている。

これを建てたのはもう5年前のことだけど、今じゃよく娘に部屋を占領される。
自分の部屋があるのに何故かここで勉強してたりして、まあ居心地が良いんじゃないかと。

最近は内装の仕事もボチボチやるけど
この時のようなミニマムな空間構成があまりに楽しかったから
またやりたいな~なんて思い、更にミニマムガレージを考えてみた。

自分のは鉄骨だったけど、これは木材ベースの構造体で考えてみた。
サイズは描いてある通りだけど、プレハブメーカーのバイク用のものに収まるサイズ。
家の車庫に組んでも良さそう。

自分の趣味に没頭できる空間ってのが大事なことなので
デスクは奥に、バイクが足下に収まるような中二階的な組み方にしている。
狭いよ、とても狭い。でも趣味空間の狭さは意外と心地良い。

今はこんなコロナ禍になってしまって、テレワークを迫られたりするから
パーソナルな空間があると色々と便が良い。
まあ、そんなじゃなくっても、生活のアクセントとしてもお勧めできるかな~。
誰かやりませんかね?(笑)

考えるのは自由だから、もっと考えてみよう。
そう、こんな感じでノウハウは続くよ、どこまでも。
好きなことならどこまでも。

デザイン部 別所 晃吉