デザイン部

SET DESIGN et cetera 「連環」

2020.10.29


歳を重ねれば重ねるほど色々なものが繋がってくる。

自分の最大の趣味はバイク。
乗るのも弄るのも作るのも大好きで、16歳で免許を取ってからかれこれ30うん年これで遊んでいる。
自分の仕事は空間系のデザインだから、バイクとはなんにも関係がないんだけど、部品を作ったりだとかにおいてだけは、何かモノを作る領域と考えればとりあえずは合致するけれど、根本的には別モノだ。

さて、以下は、ハーレーダビッドソンのカスタムショップである『BADLAND』さんのショップリニューアルで描いたデザイン画。

ヨーロッパの片田舎にある退廃的な工場をイメージしてプランした。

自分は内装デザインもやるが、その道のプロかというとそうではない。
(勿論素人って訳ではないです、専業ではないって意味で。笑)
基本ベースは映像系のプロダクションデザイナーだから、単純に物を設計し作るというより、作ったものに物語性という時間軸を与えるのが得意で。
建築家でもない、インテリアデザイナーでもない、内外装をやるにはかなりマイノリティというか、世の中のカテゴリーに属し辛いことをやっている感じなんだよね。

だからプランニングもどこかフワリとしていて感傷的で、その業界からしたら決して万人受けはしない類のもの。

この写真は、宇都宮にある廃工場の写真。
廃墟好きの自分がここの写真をFacebookにアップしたところ、
そこで繋がっていたショップオーナーであるBADLAND クワイさんより、自分のスマホへ連絡が入った。

BADLANDさんというショップはカスタムハーレー業界でも屈指の技術力で
映画『High & Low』の劇中で設定される雨宮兄弟のバイクを製作されたり、作り上げたカスタムバイクは独自の世界がある為、国内外で有名である。

まあ実際のところは旧知の方なので、これ以上アゲることはやめておくが。(笑)
ものづくりに生きてる人に誤魔化しは効かないので、前述である自分の職業も理解したいただいた上で、そのショップ移転に伴ったリニューアルを、ということになった。

ということで、何はともあれ移転先の現地調査・・・。
我々でいうロケハンですね。

まあ外観の見たところは昭和感溢れる町工場…

工場内部は鉄材工場っぽい作り。

ショールームや事務所に使うであろう併設の事務所棟の中は、やはり昭和感溢れるプレハブ作り。

さすがに少しのあいだ頭を悩ませたけど、悩んでいても先に進まず…
普段通りに世界観を作っていけば良し。
このBADLANDさんは黒い世界観がそもそものベースとなっているので、その辺りは非常に考えやすい。
社長であるクワイさんの世界を紐解き、自分達なりの肉をつける。それでプレゼンテーション。

作り始めてしまえば、クワイさんが相当任せてくれたこともあり
自分達の仕事と言う名の遊びの独壇場。
要らんことかもしれないけれど、図面には表せない世界観を作り込むことに注視する。
ここが我々の真骨頂なんで、これの手を抜くのは自分的にありえないんだな(笑)。

ショップロゴに関するとこまでお手伝いされていただき、最初の連絡からおおよそ2ヶ月半で完成。

ちょっとしたステンシルなんかは、こういう雰囲気の内装において完成度をあげる良い要素だったりするんで、自分でやるのが一番楽しい。
仕事って割り切れば発注するのが当たり前だろうけど、自分の基本は『ものづくり』にあるんだから、そこは譲れないポイント。

新品なのに看板にはエイジング、塗り直した壁面にもシルバーでタッチを追加。
綺麗に作るのが大事?
そりゃあ、ベースはちゃんと作っとかなきゃいけないけど、雰囲気チグハグなものを作ったって何の意味も無し。
コンセプトの為なら暴挙も厭わない。

新規製作のロゴもレーザーで抜き、大胆に切り文字。
さすがにオリジナルデータだと切り出せる限界があるので、若干データを簡素化して対応。
当然、雰囲気は変えないレベルで。

我々の持ち味はオーバーデザイン。
BADLANDさんのカラーは比較的クリーンではあるけれど、色味を統一することで、オーバーデザインをシンプル化した。

エアコンの室外機ですら、こういった雰囲気に合わせようとするとエイジングが必要となる。
おバカを真面目にやる感覚だよね。

格好の良いバイクはその環境をもって更に昇華する。
なーんて格好の良さそうな言葉で書いてみるが、理屈なんていらないかね。

壁にコダワリを持っていたのはクワイさん、その熱量にあてられて最大限の力を込めたBADLAND象徴の『壁』。
映画 『High & Low』を観た人じゃないと分からないかもしれないけど、EXILE AKIRAさん扮する琥珀がリーダーであるTEAM MUGENのアジトにある巨大ロゴ。
そんなイメージを与えるべくデザインした。
ただ、映像内で見せるものは比較的チープであっても問題ないけれど、肉眼で見、触ることも出来るリアルな世界においては当然クオリティも必要になる。

これ以降は、クワイさんの写真をお借りしたもの。

事務所棟の壁面に吊るされた3つのブラケットは重要なアイコン。
L字に配置された建物だから駐車場スペースが妙に間抜けに見えてしまい、その空間を少しでもつなげる為にどうしても張り出しが欲しかった。
ただ、張り出せば張り出すほど風などの影響も受け、強度を増す必要があるんだけど、もともとの躯体がプレバブである為、設置面だけじゃ全然心許ない。
そこで1台につき四方向からワイヤーで引っ張り、大胆に補強を入れた。
視覚的にも無骨なデザイン要素とする為、ワイヤーもガッチリ太めで。

デザイン画に描いていたツタはこれからのびる予定
(下の植え込みから、こればっかは時間が経たないと無理…笑)

ここまでやって昭和感溢れる建物は別の人生を歩み始めたはず。

安全第一と入っていた標語はそれを心に留め、自分たちの世界観を作ってゆく。

スタッフの部屋となるスペースは秘密基地の様相となり、2階部分はカスタム車オーナーのカフェスペースとなる。
ただカスタム中の板金音等雑音は工場内に響き渡るだろうから、名は『ノイジーカフェ』…自分が勝手に付けた名前。

昭和感は完全に消えたよね。

自分は仕事で色んなことを勉強したし覚えた。
趣味でもやっぱり同じこと。

20代30代の頃はそんなものが全然リンクすることはなかったけれど
段々と、明らかに色んなことが繋がってくる…
趣味でやったことが仕事となり、仕事でやったことが趣味となる。

連 環

不思議だけど、多分いろいろやってきたから繋がってきたことだよね。
もっとやるし、もっと楽しむ。
だから、もっと繋がれ~!

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追記:10月26日付でBADLANDさんのブログが公開されました。

2020年10月吉日
デザイン部 別所晃吉